ILY, art hoursでは、映像というメディアを用いて、世界に潜む見えない物語や風景を表出させる試みを行う作家を、12ヶ月にわたり紹介します。

大きな災害や世界的ウイルスの流行を経験する中で、わたしたちの日常は簡単に揺らぎ突き破られる不安定な足場の上に成り立っていることを、誰もが理解せざるを得ない状況へと立たされています。 しかし予期せぬ大きな揺らぎがもたらした唐突で劇的に見えるこれらの変化も、本当は日常という表皮によって覆い隠されてきた「予感」が表出してきただけなのかもしれません。

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作家たちはその日常の内側にある見えない動きを敏感に感じ取り、そこから生じる景色の移ろいや再構築される関係性、新たな物語を描き出します。

不気味さ、おかしみ、奇妙なねじれやフィクション性をともなってあらわれる映像たちは、崩壊と修復を繰り返しいびつにつなぎ合わされていくわたしたちの世界が、不器用にも未来へと向かって生き抜いていく力強さを持っていることを教えてくれます。